「パートナーなんて、いらない。」
娘を産んだとき、私は本気でそう思ってた。
未婚で出産するって決めたとき、もちろん覚悟はしてた。
周りからいろんな言葉をもらったけど、私はこの子の母親になるって決めた。
「この子は私がひとりで、立派に育ててみせる。」
だから当時は、「もう恋愛なんてしない」って思ってた。
自分のためじゃなく、娘のために。余計な感情を持ち込まないように。
そんな私が、娘が1歳になる少し前のときに、今の夫と出会うことになる。
……それより前の話を、少しだけさせてください。
娘が生まれる日。
陣痛の怖さよりも、何ヶ月もの間ずっと私を内側から支えてくれたこの子に、ようやく会えるんだという気持ちで胸が高鳴っていた。
出産には母が立ち会ってくれた。
4人の子を産んだベテランの母は、私にとってこれ以上ない心の支えだった。
陣痛の波が来るたびに背中をさすってくれて、優しい声で呼吸を整えてくれた。
その存在だけで「きっと乗り越えられる」と思えた。
約12時間の陣痛の末、娘がこの世に誕生した。
初めて味わう痛みに何度も心が折れそうになったけれど、
そのすべてが、あの小さな顔を見た瞬間にふわっと消えていった。
「あぁ、やっと会えたんだ」と、
これまでの苦しさも、不安も、全部ふわっと消えた。
生きてきた中で一番、心が満たされた瞬間だった。
その後は、慣れない育児に追われる毎日。
おむつ替えに授乳、夜泣き…
目まぐるしくて、1日があっという間に過ぎていった。
それでも、母がそばで支えてくれたおかげで、
なんとか一歩ずつ前に進めていた。
「誰にも頼らずに育てる」って、あのときは本気でそう決めていた。
でも現実は、思った以上に大変で、思った以上に不安だった。
そんな私を、何も言わずに支えてくれたのが母だった。
頼ったつもりなんてなかったのに、気づけば母の存在に何度も助けられていた。
そんなふうに、母の力を借りながらも、私は“母としての日々”に必死だった。
寝不足でも、抱っこで腕がパンパンになっても、それが当たり前の毎日。
恋愛なんて、もう自分には関係ないって思ってた。
誰かに頼らなくても生きていけるようにならなきゃ、って。
それくらい、心のどこかでずっと気を張っていたんだと思う。
───そんな私の前に、彼が現れた。
ある日、中学校からの友人に、「たまには息抜きも大事だよ」と誘ってもらい、
母に相談したら快く「行っておいで」と言ってくれた。
初めて娘を預けて1人で外に出た日。
そこには色んな人が集まっていて、その中に今の夫がいた。
初めて会ったとは思えないくらい気が合って、
後日、彼から連絡があり私たちは連絡を取り合うようになった。
最初は、正直「この人と結婚なんて、絶対ないな」って思ってた。
でも彼は、こっちが引くくらい(笑)まっすぐで、真剣で、優しくて。
最初は戸惑ってたけど、ある日ふと「この人に、娘を会わせてみたいな」って思ったんだ。
“この人は、子どもとどう関わるんだろう?”
たぶんそのとき、私は本能的に「この人がパパになったら」っていう未来を想像していたんだと思う。
娘と彼が初めて会った日。
彼は緊張しながらも、すごく優しい顔で精一杯、娘と遊んでくれた。
それからも、オムツ替えやミルクを進んでやってくれたり、プレゼントをくれたり、
私のことよりも娘に尽くしてくれていた。
もちろん、それでもすぐに気持ちが変わったわけじゃない。
長く関わってみないとわからないし、”結婚してから豹変するタイプ”の人だっている。
娘と自分の未来のためにも、慎重に見極める時間が必要だった。
むしろ「失敗しないためにも絶対妥協はしない」って思って、頭の中はフル回転。
いろんな“戦略”を考えてた。
まず第一条件は「娘を大事にしてくれる人か」。
その次に「娘がその人に懐くかどうか」。
自分の気持ちなんかより、娘の気持ちのほうがずっと大事だった。
シングルマザーが相手に子供を会わせるかどうかって、色々な考えがあると思う。
私の場合、娘がまだ小さかったということや、実際に娘と関わる姿を見て慎重な見極めをしたかった。というのが会わせてみたくなった理由。
ちなみに、“付き合った日”とか、ないんだよね。
気づいたら、ずっとそばにいてくれてた。
「絶対にパートナーはつくらない」と決めていた私だったけど、彼の優しさと猛アタックに私は少しずつ、やんわりだけど結婚を現実的に考えるようになっていった。
これは、私が“1人で育てる”と決めた日から、家族になると決めるまでのお話。
きっと同じように悩んだり、迷ったりしてるママの心にも届きますように。
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